【出版記念講演会は満席】新刊「神時間力」ベストセラー作家・星渉さんインタビュー
「仕事に追われて毎日忙しい」「やる事が多すぎて、自分のやりたいことができない」といった悩みをもつ人は非常に多いのではないでしょうか。時間管理やタスク管理が苦手だから…と諦めている人も多いかもしれません。
そこで、今回6月29日に新刊「神時間力」を出版するベストセラー作家の星渉さんに、時間の捉え方・使い方の概念が変わる興味深いお話を伺いました。
星 渉(ほし わたる) 1983年生まれ。仙台出身。大手保険会社のトップセールスマンを経て、女性の起業家を育てるコンサルタントへ転身。数多くの起業家を育てた実績から、コンサルティングの募集は常に満員。その後、作家へ転身、1万部超えればヒットと言われる業界で、「神メンタル」「神モチベーション」など累計48万部以上を売り上げる現在、麗澤大学客員教授、ベストセラー作家(著書累計8冊48万部)として活躍中。
9冊目の最新刊「神時間力」を書き始めた理由は
――今回のテーマに時間術を選んだ理由は何ですか?
本を出す時は、出版社の担当の方から企画を提案いただくのですが、お金の使い方とか勉強法とか読書法だったり、いくつかテーマを提案していただいたなかで、自分の中で一番ピンときたのが時間術だったっていうのが最初のスタートになります。
今起業して11年になるのですが、結局自分一人でやらなきゃいけないことがたくさんあるので、時間の使い方によって得られる結果が、すごく変わるということも自分自身で感じているところですし、多く人の役に立つことを語れるのではないかなと思ったとこもあり、時間術を選びました。
――時間術に関する他書籍との違いがあれば教えてください。
新刊は、いわゆるタイムマネジメントのTips的な内容ではありません。「Todoリストをうまく使いましょう」や「このアプリがおすすめです」というものではなく、時間の使い方のルールや本質論をまとめています。時間に対する考え方や使い方のルールを知ることで、自動的に時間をうまく使えるようになるという内容です。
そのため、本書はビジネス書にはあまりないストーリー形式で書いています。
また、ストーリーの中に反論を多く入れることで、読者の方がより理解・実践しやすい工夫をしています。
――本書籍のメイン読者層はどんな方になりますか?
メイン読者層は、30〜40代の男女で、日々さまざまなことに追われる中で、将来への不安がある、何か現状を変えたいと思っているような人になります。
当初は、仕事の責任も増しプライベートでは家事や子育てに時間も取られてしまうような「忙しい人」を想定していたのですが、30〜40代の悩みに関してマーケティング調査を行ったところ、「忙しい」という悩みより「給料が上がらない」や「将来が不安」という回答が上位だったんです。
そのため、お給料が上がる・将来の不安が軽減する、というような根本的な時間の捉え方や使い方を伝える内容にしようと思い、コアメッセージとして「人生は時間の投資である」「限られた時間を自分が一番得たい結果に投資する」ということを伝えています。
驚きの時間の使い方とは?神時間力の内容を語ってもらいました
――星さんは、大手保険会社でトップセールスマン、起業コンサルを経ていますが、限られた時間の中で成果を出してきたと思います。限られた時間で成果を出すために必要なことは何だと思いますか?
新刊の中にも書いてますが、得たい結果はなんであれ、「結果=投資した時間✖️行動のレベル」という公式が常に当てはまると思っています。そのため限られた時間の中で成果を出すために必要なことは、得たい結果を明確にしてそこにとことん時間を投資するということかと思います。
行動のレベルというのは生産性とも言えますが、例えば、英単語を100個覚えるというのでもやみくもに100個覚えようとするのと、英単語100個を15分で覚えましたという人のコツを聞いてからやるのでは生産性が違いますよね?
やみくもに覚えるという行動のレベルを1としたら、15分で覚えたコツを実践するという行動のレベルは2になります。同じ時間を投資したとしても、行動のレベルの違いによって結果は2倍、3倍…と変わってくるんです。
なので成果を得るためには、しっかり時間を投資することはもちろん、高い行動のレベル・生産性になるよう常に意識することが重要だと思っています。
また、得たい結果・目標は「1つにする」ということも重要です。時間は限られていますから、同時並行するとその分投資できる時間が分散されて、得たい結果は得られません。得たい結果の1つをまずクリアする、そうするとポジティブな気持ちで次に進めますが、同時進行しているといつまで経っても結果が得られずネガティブな気持ちになりモチベーションも続きません。
――時間の使い方を意識したきっかけなどはありますか?
3.11の東日本大震災を岩手県で被災したのが一番のきっかけだと思います。当時、地震保険や津波保険を扱う損害保険会社に勤めていたため、ライフラインもままならない中、震災発生5日後くらいから災害調査に入りました。テレビでは放映できないような自衛隊の人命救助活動という衝撃的な場面を何度も目にし、「人って本当に死ぬんだな」ということを強く実感しました。
震災が「命は有限だ、時間を無駄にはできない」と考えるきっかけになり、その半年後に起業しました。
――星さんのように「起業しよう」といった明確な目標がない人や自分が何をしたいかわからないという人も多いと思いますが・・・
そのような反論も想定して、本書には自分のやりたいことの見つけ方も書きました。やりたいことが明確になれば、それを達成するための時間の使い方をすればいいので非常にシンプルです。
本の中でも書いていますが、多くの人が「得たい結果、自分が今何を目指したいのか」ということを考える時間を取らずに、なんとなく毎日過ごしています。
時間の使い方が下手だと言っている人は、自分の時間をどこに投資していいのかわかってないだけなのです。
――時間管理が苦手な人に対して伝えられるポイントがあれば教えてください。
この本読んで!が一番早いし有難いのですが(笑)、時間管理が苦手と思っている人は、「24時間という限られた時間の中で全部うまくやれる」と勘違いしてるんですね。そもそも限られた時間の中で全てを完璧になんて無理なことです。無理なものをできてないというだけで「苦手だ」「できない」と嘆いてる方が非常に多い。
例えば、サラリーマンの人が30時間という限られた時間があったとします。Aさんはメールの返信や社内プレゼン資料の作成、雑務などを完璧にこなすことに30時間使いました。Bさんはメールの返信は2〜3行、社内プレゼン資料は文字をメインにし、雑務には時間をかけず15時間で行い、残りの15時間を昇進に必要な資格の勉強に充てました。先に昇進するのはどちらでしょうか?
時間管理が苦手な人に伝えられることがあるとすれば、まず時間内に全部こなすのは無理なんだよ、という前提を伝えた上で、じゃあ無理ならば一番の得たい結果を得るために時間を使いましょうと伝えてあげてください。そして、得たい結果を得るために、トラブルが発生しその解決に無駄な時間が取られないよう、トラブルが起きない最低限のレベルを見極めて他のことに時間を使いましょうと。
神時間力で伝えたいメッセージをお願いします
――本の内容を伺っていると、子供たちにもぜひ伝えたい内容のように感じます。
よく日本はお金の使い方を勉強しないと言われますが、お金の使い方と時間の使い方はとても似ています。何に対して使ったら、それに対してリターンが得られるという点で同じなんです。
最近では老後2000万円問題なんかが騒がれているので、お金の勉強の必要性を感じている人は多いかもしれませんが、時間に関して教えてもらうことといえば「時間を守りなさい」といったことくらいです。
時間に対しての教育は全然進んでいないので、本書の内容は大人が知るべきことであると同時に、子供たちにもぜひ学んでほしいと思っています。
また、ご家族やご友人といった自分の大切な人たちが、時間をただ大量にタスクをこなすためだけの人生から守ってあげるためのお守りのような本になってくれたら嬉しいなと思って書いています。
編集部コメント
新刊「神時間力」は、時間術やタイムマネジメントといった難しいビジネス書とは違い、ストーリー形式で具体例も多く、読みやすい一冊になっています。 人生の限られた時間の使い方を真剣に考えさせてくれる一冊になるのではと思います。
日々に何かに追われる中で、限られた時間をどう使うか真剣に考えることはなかなか難しいですが、時間の使い方がうまくなって、本当にやりたいことに集中したいという人にぜひおすすめです。